【解説】2030年の電源構成とエネルギー起源CO2排出量は?

カーボンニュートラル

2030年の電力需給と電源構成は?

早速、電力需要と電源構成を見てみましょう。

まず、気になったのが、電力需要と電源構成の棒グラフの高さに差があることではないでしょうか。

電力需要;8640億kWhに対して、電源構成;9340億kWhとなっており、その差は7.5%大きい値です。

これは、送配電ロス等によるものです。

発電設備から需要家まで電力を供給するために送電線を用いており、その間で損失が発生します。

損失低減のために出来るだけ高電圧での供給を行っていますが、変圧器での損失も必ずあるので、どうしても電源構成で示す値が大きくなってしまうわけです。


また、電力需要と電源構成について、エネルギー需要と一次エネルギー供給との繋がりを確認します。

前回の記事で、2030年のエネルギー需要と一次エネルギー供給について説明しました。

エネルギー需要の単位であるkLから、電力需要の単位であるkWhへの単位変換を確認してみましょう。

一次エネルギー供給と電源構成への変換も同様です。

1.エネルギー需要は280百万kLであり、その内の電力は28%程度なので、280×0.28=78.4百万kLが電力需要となります。

2.これを熱量換算すると、原油の発熱量(38.2GJ/kL)として、78.4×38.2=2995百万GJとなります。

3.最後に、これを電力換算すると、 2995百万GJ÷3600sで8319億kWhとなります。


先ほど一次エネルギー需要から換算した電力需要;8319億kWhに対して、8640億kWhと3.7%の若干差はありますが、規模感は問題なさそうです。

もしかしたら、 原油の発熱量(38.2GJ/kL) を39.6 GJ/kLとすべきなのかもしれません。

今回の考察はここまでにしておきます。

 


2030年の電源構成

前回記事で、一次エネルギー供給として、再エネ比率;22~23%であると述べています。

一方で、ニュース等で、”再エネ比率;36~38%に設定”という記事を目にした方もいるのではないでしょうか。

この再エネ比率;36~38%というのが、電源構成に占める比率です。

電源構成の内訳を見ていきましょう。

先ほどの図と、この表で示されている再エネ;36~38%というのが大きな話題になっているわけです。


2015年策定時と比較した表は、以前の記事でも紹介させてもらいましたが、参考に再掲します。

今後の太陽光発電と風力発電の増加に着目です。


エネルギー起源CO2排出量

最も重要な最終結果である、エネルギー起源のCO2排出量を見ていきましょう。

重要なのは、左側です。

2030年度;677百万t-CO2の排出量を目標として、2013年度;1235百万t-CO2から、45%削減を見込んでいます

ちなみに、2015年策定時;927百万t-CO2(2013年度比;25%削減)であり、20%も削減量が増加しています。


最後に、各国の宣言を見ましょう。

各国、高い目標を掲げています。

気になるのが、基準とする年がばらばらなことです。

各国の経済状況によって排出量は年ごとに変更していますので、削減量を大きく見せるために排出量が多かった年を基準としているわけですね。


各国の推移を見てみましょう。2018年までのデータなので、ちょっと古いですが。。。

日本はリーマンショックで落ち込んだ2009年から経済回復したタイミングである2013年に12億t-CO2となりましたが、その後は徐々に減少傾向です。

着目すべきは、ヨーロッパの各国です。EU28ヵ国では2018年の時点で1990年比;22%のCO2排出量削減を実現しています。

やはり、ヨーロッパの取り組みは注目すべきであり、参考にできる技術・政策は取り入れるべきだと思います。


資源エネルギー庁 エネルギー基本計画について

https://www.enecho.meti.go.jp/category/others/basic_plan/

環境省 気候変動の国際交渉|関連資料

http://www.env.go.jp/earth/ondanka/cop/shiryo.html#05

コメント

タイトルとURLをコピーしました