【わかりやすく徹底解説】「COP27」とは?(気候変動による被害支援基金創設が決定)Part.2

カーボンニュートラル
ニュー太郎
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今回は「COP27」に関する内容を

わかりやすく解説します。

その第2弾であり、会議の成果を見ていきます。


 各国の取り組みとして、世界の平均気温の上昇を、産業革命前と比べ2度未満に保つとともに、1.5度に抑える努力をすることを決めています。

また、各国は5年ごとに削減目標を国連に提出し、取り組みの状況を報告することが義務づけられています。

こうしたことから、日本は2050年カーボンニュートラルを実現するという目標を公表して、その取り組みを進めています。

今年も気候変動枠組条約締約国会議であるCOP27が開催され、議論が行われました

この会議には多くの国が参加・代表者が講演をする為、世界的な動向や今後の方針を知る上で非常に重要です。

今回はこのCOP27の成果を解説します。

国連の枠組みで各国が協調して被害への資金支援に取り組むことが初めて合意される等、決定したことは多数あります。

世界の動向を確認し、日本がどのように動いていくかは、今後伸びてくる企業(メーカー)を予測することに繋がります。

日本の戦略を含めて学んでいきましょう!


この記事を読むことで、

  • COP27とは? [前回記事まとめ] がわかる
  • COP27の成果 ①気候資金 (ロス&ダメージ) がわかる
  • COP27の成果 ②緩和と適応 がわかる

COP27とは? [前回記事まとめ]

COP27とは?
  • 「COP」とは「Conference of the Parties(締約国会議)」の略であり、気候変動枠組条約締約国会議のこと
  • 毎年開催されており、COP27は第27回目の開催
  • 代表的なものに、1997年に京都で開催されたCOP3で 「京都議定書」 、2015年にフランス・パリで開催されたCOP21で「パリ協定」がある
  • COP27は、エジプト東部のシャルムエルシェイクで11月6日から18日までの日程で開催 ⇒20日まで延長されました
気候変動被害(主なもの)
  • パキスタンでの大規模な洪水(数十年で最悪
  • ヨーロッパの干ばつ(過去500年で最悪
  • 中国の干ばつ(1961年の観測開始以来最も強い熱波
  • アフリカの干ばつ(過去30年で最も深刻
脱炭素の動き
  • ヨーロッパ;エネルギーの供給不安という直接的な影響と、景気後退や企業の業績悪化に伴って脱炭素に向けた投資の優先度が低下から、石炭への回帰が進む
  • 日本;企業の業績が悪化すると脱炭素を進めるために必要な設備投資や技術開発を進める余力や優先度が低下し、取り組みが遅れる


COP27の成果 ①気候資金 (ロス&ダメージ)

ニュー太郎
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それでは、COP27の主たる成果を見ていきましょう。

ますは、①気候資金(ロス&ダメージ)についてです。

外務省のサイトより内容抜粋します。

 気候資金について、

  • 長期気候資金
  • 先進国全体での2025年までの適応資金
  • 資金の流れと気候変動取組の整合
  • ロス&ダメージの資金面での措置に関する事項

等(2025年以降の新規気候資金合同数値目標、資金に関する常設委員会に関する事項、資金メカニズムに関する事項)

の幅広い議題について交渉が行われました。


長期気候資金

 長期気候資金に関しては、多くの途上国から、先進国による年間1000億ドル(=100bn)資金目標の未達成に対して進捗の報告を求める声が強く、隔年で進捗報告書を作成することとなりました。

気候変動対策の支援金

BBC NEWS JAPAN 「COP27が閉会、途上国への資金支援を決定 化石燃料対策は進まず」

https://www.bbc.com/japanese/63698454

先進国全体での2025年までの適応資金

 昨年のグラスゴー気候合意で決定された先進国全体での2025年までの適応資金の倍増について、

途上国の要求により報告書を作成することになりました。


資金の流れと気候変動取組の整合

 EUをはじめ一部の先進国からは、資金の流れを気候変動の取組に整合させることを目的としたパリ協定2条1(c)に関して議論の場を設けるべく新規議題の追加提案を行いました。

 しかし、途上国の反対により議題は採択されませんでした。

パリ協定2条1(c)

第2条 (目的)

1 この協定は、条約(その目的を含む。)の実施を促進する上で、持続可能な開発及び貧困を撲滅するための努力の文脈において、気候変動の脅威に対する世界全体による対応を、次のことによるものを含め、強化することを目的とする。

(c) 資金の流れを温室効果ガスの低排出型の、かつ、気候に対して強靱な発展に向けた方針
に適合させること。

 但し、パリ協定締約国会合(CMA)全体決定において、パリ協定2条1(c)に関する理解を促進するためのシャルム・エル・シェイク対話を開始することが決定されました。


ロス&ダメージの資金面での措置に関する事項

ニュー太郎
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今回の焦点はここです。

COP27は会期中に合意がまとまらず、2日間延長されての閉会となりました。

 途上国側の強い要求を受けて新規議題となったロス&ダメージの資金面での措置に関する議題では、先進国と途上国との間で意見の隔たりが大きく、閣僚級での議論に持ち込まれました。

 その結果として、脆弱な国へのロス&ダメージ支援に対する新たな資金面での措置を講じること及びその一環としてロス&ダメージ基金(仮称)を設置することが決定しました。

国連の枠組みで各国が協調して被害への資金支援に取り組むことが合意されるのは初めてです。

西村環境大臣は、22日の閣議後の会見で

「最終的に重要な合意がなされたことを歓迎したい。

 今回の大変意義深い成果を踏まえて、今後もすべての国と一致団結して気候変動対策をすすめていきたい。」

と述べました。

NHK COP27 途上国対象に新基金創設「重要な合意歓迎したい」環境相

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221122/k10013899821000.html

 この資金面での措置(基金を含む)の運用化に関してCOP28に向けて勧告を作成するため、移行委員会を設置することとなっています。

ロス&ダメージ

気候変動の悪影響(気象についての極端な事象及び緩やかに進行する事象を含む。)に伴う損失及び損害のことです。


ロス&ダメージに関する技術支援

 ロス&ダメージに関する技術支援を促進する「サンティアゴ・ネットワーク」の完全運用化に向けて、同ネットワークの構造、諮問委員会・事務局の責任と役割等の制度的取り決めについて決定しました。

サンティアゴ・ネットワーク

「損害を回避、最小化、対処するための専門的アプローチの開発」

「計画ツールやソリューションへのアクセス支援」

「組織間の知識、実践、アプローチの共有」

「ジョイントベンチャー、コンソーシアム、企業を通じた新しいパートナーシップの促進」

等の実施によるロス&ダメージに関する技術支援ネットワーク

外務省 国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27) 結果概要

https://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/ch/page1_001420.html

COP27の成果 ②緩和と適応

ニュー太郎
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次に、②緩和と適応を見ていきましょう。

用語の解説からいきます。

緩和

温室効果ガスの排出削減と吸収の対策を行うことが「緩和」です。

省エネの取組みや、再生可能エネルギーなどの低炭素エネルギー植物によるCO2の吸収源対策などが挙げられます。

適応

緩和に対して、既に起こりつつある気候変動影響への防止・軽減のための備えと、新しい気候条件の利用を行うことを「適応」と言います。

影響の軽減をはじめ、リスクの回避・分散・需要と、機会の利用をふまえた対策のことで、渇水対策や農作物の新種の開発や、熱中症の早期警告インフラ整備などが例として挙げられます。

 

JCCCA IPCC第5次評価報告書 特設ページ 緩和・適応とは

https://www.jccca.org/ipcc/ar5/kanwatekiou.html

緩和

 2030年までの緩和の野心と実施を緊急に高めるための「緩和作業計画」が策定されました。

緩和作業計画には、

  • 1.5℃目標達成の重要性
  • 計画期間を2026年までとして毎年議題として取り上げて進捗を確認すること(2026年に期間延長の要否を検討)
  • 全てのセクターや分野横断的事項(パリ協定6条(市場メカニズム)の活用含む)等について対象とすること
  • 最低年2回のワークショップの開催と報告という一連のサイクル、非政府主体の関与、緩和作業計画の成果を閣僚級ラウンドテーブルで毎年議論すること

等が盛り込まれました。


適応

 COP26で設置が合意された2年間の作業計画である「適応に関する世界全体の目標(Global Goal on Adaptation;GGA)に関するグラスゴー・シャルム・エル・シェイク作業計画」について、

本年の作業の進捗を確認するとともに、最終年となる来年に向けた作業の進め方について決定しました。

 また、優先テーマや横断的課題等を含むフレームワークの設置に向けた議論を開始することを決定しました。

適応

パリ協定 第7条 (適応)の解説

[第1項]

定量的な目標を規定することが難しい適応の性質に鑑み、

・気候変動への適応に関する能力の向上

・気候変動に対する強靭性の強化及びぜい弱性の減少

という定性的な内容が規定されています。


[第2項]

 気候変動の悪影響に特にぜい弱な途上国(特に小島嶼国やアフリカ諸国などの後発開発途上国(LDC)等が念頭におかれている)における緊急なニーズを考慮し、

これらの国々の住民や生態系を保護するために適応があらゆるレベルで重要であることを認
識することの重要性
が規定されています。

浦上亜希子氏、パリ協定の解説 第 7 条(適応)

https://www.iges.or.jp/sites/default/files/inline-files/07.pdf

外務省 国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27) 結果概要

https://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/ch/page1_001420.html

まとめ

ニュー太郎
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最後に、本記事のまとめです。

COP27の成果 ①気候資金 (ロス&ダメージ)
  • 長期気候資金;隔年で進捗報告書を作成することに決定
  • 先進国全体での2025年までの適応資金;報告書を作成に決定
  • 資金の流れと気候変動取組の整合;採択されず ⇒シャルム・エル・シェイク対話を開始することに決定
  • ロス&ダメージの資金面での措置に関する事項;脆弱な国へのロス&ダメージ支援に対する新たな資金面での措置を講じること及びその一環としてロス&ダメージ基金(仮称)を設置することが決定、移行委員会を設置が決定 ※COP27は会期中に合意がまとまらず、2日間延長されての閉会
COP27の成果 ②緩和と適応
  • 温室効果ガスの排出削減と吸収の対策を行う「緩和」;1.5℃目標達成の重要性党が盛り込まれた「緩和作業計画」を策定
  • 既に起こりつつある気候変動影響への防止・軽減のための備えと新しい気候条件の利用を行う「適応」;「適応に関する世界全体の目標(Global Goal on Adaptation;GGA)に関するグラスゴー・シャルム・エル・シェイク作業計画」の最終年となる来年に向けた作業の進め方について決定
ニュー太郎
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国連のグテーレス事務総長が、

人類には選択肢がある。協力するか滅びるかだ

と訴えて始まったCOP27が閉会しました。

この会議で決定したことは引き続き注目していきましょう。


ニュー太郎
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気候変動による被害は深刻です。

今後も世界の気候変動対策からは目が離せません!

ご覧いただき、ありがとうございました。

以上、ニュー太郎でした。



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