
カーボンニュートラルを実現するためには、原子力の活用は不可欠です。
但し、安全性という点で再稼働もなかなか進んでいません。
今回は検討されている革新炉による安全性を見ていきましょう。
この記事を読むことで、
✓ 原子力の革新炉 がわかる
✓ 軽水炉(ESBWR)、SMR がわかる
✓ 高温ガス炉(HTTR) がわかる
✓ ナトリウム冷却高速炉 がわかる
原子力発電所の現状と取り組み

電力料金の値上げによって、原子力発電の再稼働を訴える人も増えているみたいだよ。

その点は、ツイートさせてもらいました。

“S+3E”については、過去の記事で紹介しています。

原子力が発電以外でもカーボンニュートラルに貢献しているんだよね。

カーボンニュートラルに不可欠な熱利用・水素製造への貢献も期待されています。
詳細は過去の記事で紹介しています。
原子力の革新炉

革新炉ってなんのこと?

安全性、廃棄物、エネルギー効率、核不拡散性等
の観点から優れた技術を取り入れた先進的な原子炉のことです。
特に、安全性は福島第一原子力発電所事故を教訓にしたものです。
福島第一原子力発電所事故
2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震発生による影響で外部電源を失い、
更に津波の影響で非常用発電機が故障したことで全電源喪失に陥ったため、
ポンプによる注水ができず、
核燃料の冷却ができなくなったことで、
メルトダウン(炉心溶融)が起きて、
水素ガスが充満してガス爆発が起こり、
原子炉建屋、タービン建屋および周辺施設が大破しました。

Wikipedia
福島第一原子力発電所事故
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A6%8F%E5%B3%B6%E7%AC%AC%E4%B8%80%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E7%99%BA%E9%9B%BB%E6%89%80%E4%BA%8B%E6%95%85#%E4%BA%8B%E6%95%85%E7%B5%8C%E9%81%8E

事故等により外部電源を喪失した場合でも、
炉心を冷却するシステムを備えるなどの固有の安全性を有するものが革新炉です。
原子炉の安全性
大きくは3つの方法が考えられています。
令和4年3月2 8日のエネルギーを巡る社会動向と原子力の技術開発では、こちらの図でまとめられています。

また、研究開発のスケジュールはこちらです。


経済産業省
エネルギーを巡る社会動向と原子力の技術開発
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/genshiryoku/pdf/025_03_00.pdf

詳細を見ていきましょう。
軽水炉(ESBWR)、SMR(BREX-300)

いきなり単語がわからないよ。

各単語を説明することが、特徴の解説になりますので
一つずつ確認しましょう。
軽水炉(ESBWR)の特徴と安全性
日本の原子力発電所では、米国で開発された「軽水炉」と呼ばれる原子炉が採用されています。
この原子炉は軽水(普通の水)が減速材と冷却材に兼用されているのが特徴で、燃料には濃縮ウランを用います。
軽水炉は世界の原子力発電の主流となっており、蒸気を発生させるしくみの違いによって沸騰水型炉(BWR)と加圧水型炉(PWR)の2種類に分けられますが、
核分裂の方法や減速材として水を使う点は、どちらの形式も同一です。
電気事業連合会
軽水炉のしくみ
https://www.fepc.or.jp/enterprise/hatsuden/nuclear/keisuiro/index.html
ます、BWR=Boiling Water Reactorの略で、沸騰水型原子炉のことです。

詳細は過去の記事で紹介しています。
そこから、改良されたのが、
ESBWR=Economic Simplified Boiling Water Reactorの略で、革新型単純化沸騰水型原子炉です。
GE日立ニュークリア・エナジーが設計しています。
ESBWRは、先進の受動的安全システムを採用しており、炉心損傷頻度において世界で最も安全と認められた原子炉設計です。
施設内外での交流電源喪失時や作業員による操作がない場合でも、7日間以上の自己冷却が可能です。
また、能動的安全システムを持つ他の原子炉よりポンプや作動機器の設置数を約25%削減可能であるため、発電キロワット当たりで最も低廉な運転や保守、人員コストを実現します。

SMR(BREX-300)の特徴と安全性
SMR=Small Modular Reactorの略であり、小型モジュール炉のことです。
定義は国や機関により様々ではあるが、電気出力が概ね30万kW以下の小型で、パッケージ(モジュール)で製造される新型原子炉 となります。

特徴として、
①電気出力30万kW級小型炉(SMR)
②革新的安全技術と実証済み技術の融合で優れた炉概念を実現
③モジュール化による建設費・工期の大幅な低減
があります。
①②の特徴


③の特徴

日立GEニュークリア・エナジー株式会社
海外で検討が進んでいる革新炉の安全設計の特徴等について(事例紹介:BWRX-300)
http://www.aesj.or.jp/~safety/3_matsuura_20210119.pdf
高温ガス炉(HTTR)

あまり高温ガス炉(HTTR)は馴染みがないな。

熱利用による水素製造で注目されています。
高温ガス炉(HTTR)の特徴
HTTR=High Temperature Engineering Test Reactorの略です。
軽水炉は、金属被覆管を使用し、冷却材には水(軽水)を用いていることから、
原子炉から取り出せる温度は300℃程度に制限され、蒸気タービンによる発電効率は30%程度に過ぎません。
これに対し、高温ガス炉は、炉心の主な構成材に黒鉛を中心としたセラミック材料を用い、
核分裂で生じた熱を外に取り出すための冷却材にヘリウムガスを用いた原子炉です。
高温ガス炉は、耐熱性に優れたセラミック材料の使用により1000℃程度の熱を取り出すことができます。
そしてガスタービン発電方式が採用でき、45%以上の発電効率を得ることができます。
これらにより、経済性も軽水炉より優れていると試算されています。


高温ガス炉(HTTR)の熱を利用して水素製造することで
カーボンニュートラルへの貢献が期待されています。
高温ガス炉(HTTR)の安全性
高温ガス炉の燃料に用いられている4重被覆のセラミック燃料粒子はきわめて耐熱性が高く、1600℃と非常に高温でも破損しません。
炉心を構成している黒鉛材料の熱容量が大きく、異常が起きても炉心の温度変化が緩慢であることから、配管が破損して冷却材のヘリウムガスがなくなるような事故が起きても、炉心で発生する熱は原子炉の容器表面から放熱されることにより自然に除去され、燃料が破損する心配はありません。
すなわち、どんな場合でも、炉心溶融や大量の放射能放出事故が起きる恐れのない、きわめて安全な原子炉です。

国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
高温ガス炉と水素・熱利用研究
https://www.jaea.go.jp/04/o-arai/nhc/jp/faq/index.html
ナトリウム冷却高速炉

ナトリウム冷却高速炉も馴染みがないな。

ちょっと違いますが、高速増殖炉「もんじゅ」でもナトリウム冷却が採用されていました。
ナトリウム冷却高速炉の特徴
ナトリウム冷却高速炉は、SFR=Sodium−Cooled Fast Reactorと略します。
金属ナトリウムまたはその合金を冷却材として用いる原子炉をナトリウム冷却原子炉のことです。
高速中性子を用いる高速炉は、従来から高速増殖炉として各国で開発されてきました。
最近、第4世代原子炉(Generation IV:GEN−IV)という次世代の原子炉概念の一つとして採用されています。
「もんじゅ」開発を踏まえてJNC(核燃料サイクル開発機構)が検討中の大型ループ型炉があり、原子炉構造のコンパクト化、ループ数削減、一次系機器の合体等による経済性向上を特徴としています。

ATOMICA ナトリウム冷却高速炉
https://atomica.jaea.go.jp/dic/detail/dic_detail_1756.html

革新炉の開発は各国で行われています。
日本も力を入れていくべき分野だと思っています。
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