今回は経済産業省とNEDOの情報から、グリーンイノベーション基金について説明します。
グリーンイノベーション基金とは?
前回の記事で「2050年カーボンニュートラル」について説明しました。
この目標を達成するため、グリーンイノベーション基金事業により企業等に対して、10年間、研究開発・実証から社会実装までを継続して支援するというものです。
カーボンニュートラルは並大抵の取り組みでは実現できません。
政府(政策)としての十分な支援が必要です。日本企業はお金がない。。。
ちなみに、野心的な2030年目標という言葉が出てきますが、これについては別記事で解説予定です。
対象事業
対象事業はこちらです。
前回の記事でも示した通り、CO2排出量は産業部門が最も高いので、まずはここ(一番左の列)に注目をすべきだと個人的は考えています。
①再生可能エネルギーについては、FIT制度を活用して太陽光発電が大きく電源比率を高めました。再生可能エネルギーには課題もありますが、今後も比率を高める必要があります。
②水素・燃料アンモニアについては、これは色々とニュースも出ていますよね。水素供給最大手の岩谷産業さんは数年前から株価も上がって注目度がかなり高いです。水素を作るためにも電気がいるので、これをどのように供給するか、輸送、コストといった課題は山積みなのですぐにはという感じではないですね。
水素をどのように作るかでグリーン・ブルー・グレー水素などと言われます。これも別記事で紹介する予定です。
アンモニアは肥料として使用していたこともあり、水素より検証が進んでいます。輸送面でもメリットがあるので、化石燃料→アンモニア→水素という燃料転換が大きな流れだと思います。
④原子力産業は、これも注目度が高い内容です。東日本大震災後に停止して以降、徐々に原子力発電所の再稼働が進んでいます。原子力発電をどう扱っていくかはCO2排出量削減の政策に大きく影響があります。この点も野心的な2030年目標に関係してきますので、別記事で解説予定です。
具体的なプロジェクト
令和3年5月21日に経済産業省が公表した内容から、2021年度の上半期の具体的なプロジェクトを見てみましょう。
先ほど示した重点14分野とは異なる、3つのワーキンググループ(WG)が右に示されていますが、気にする必要ないです。
①②は再生可能エネルギーです。先ほどの分野の時もそうですが、洋上風力発電が太陽光より前、又は上に記載してあることから、今後の洋上風力発電への期待が伺えます。
③④⑥は水素とアンモニアの供給についてです。これもやはり注目度が高いです。
⑤は製鉄プロセスについてです。産業部門でのCO2排出量において製鉄業が最も比率が高いので、ここで特定の業界が入ってきている訳ですね。
⑦~⑪⑱はCCUSについてです。ちなみに、二酸化炭素の回収・有効利用・貯留(Carbon dioxide Capture, Utilizationor Storage)の略語です。
⑫~⑭は輸送部門についてです。電気自動車、自動化は耳にすることも多いかと思います。
⑮はデジタルインフラ関係です。
⑯⑰も水素・アンモニアへの燃料転換についてです。
ここから分かることは、再生可能エネルギーの拡大、水素・アンモニアの活用、CCUSの活用、輸送分野の電化・自動化がしばらくは大きな課題だということです!
(国研)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)グリーンイノベーション基金事業統括室
https://www.nedo.go.jp/activities/green-innovation.html
経済産業省 第6回 グリーンイノベーション戦略推進会議
https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/green_innovation/gi_006.html
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